故人を見守る


*枕飾り・枕団子・枕花・枕経

臨終の時から、通夜・葬儀までの間、故人さまはまず住み慣れたご自宅に帰ることで修行が始められます。

「故人を見守る」とは、ちょうど子供の誕生からその成長を見守ってあげるのと同じように、おこなうことです。

亡くなって一週間は、子供が生まれた時、つきっきりでみたような気持ちで故人さまを見守ってあげてください。

枕飾り・枕団子・枕花・枕経は亡くなられてから、枕元で最初に行う大切な大切な儀式です。

〇枕飾り

遺体の枕元に机を置いて白い布を掛け、花瓶・香炉・燭台を配し、お湯呑みに入れた水と一膳飯(箸を真ん中につき立てたもの)を供えます。

一膳飯の真ん中に箸を立てる意味は、二膳、三膳はない「一膳限りの飯を出す」ということであります。

一膳限りの飯を出すことは、この世に別れを告げてあの世へと旅立つ故人さまへの別れを告げる作法と伝えられています。

全てのお供え物を総称して「枕飾り」といい、また白い団子を6個お供えする「枕団子」があります。

 

*出棺の際に祭壇に飾られている茶碗を割る「茶碗割り」というしきたりがあります。

これは、故人さまの魂がこの世へ帰ってきたり、未練を残したりしない為に行う儀式です。

〇枕団子

枕団子とは、亡くなった方の枕元に供える、供物のことです。

「故人さまが浄土への旅の途中でお腹が空いたときにいつでも食べられるように、また空腹で困っている人に団子を分け与え、徳を積み、浄土へ無事行けるように」という意味が込められています。

故人さまは死後知らない世界へ移り、どこへ行っていいのか、さ迷っている状態にいるそうです。

死後なにもわからない状態にいる故人さまに、枕団子の意味を教えてあげることで、死後の世界へ導くことができます。

是非、声を掛けて教えてあげてください。

 

*地域の風習によっては、団子の数が違うところもございます。

〇枕花

枕花とは、遺族からいち早く亡くなった訃報を受けた、故人と親しくしていた人や近親者が、故人の枕辺に供えるためにご自宅へ贈るお花です。

哀悼の気持ちを込めて贈るのが枕花です。

枕花には共に故人さまをしのび悲しみを分かち合うという意味が含まれています。

〇枕経

ご遺体の安置・枕飾りが整ったのち、僧侶に来ていただき枕元で経を唱えて頂きます。

枕経とは、今世精一杯生きてこられた故人さまの魂を綺麗に浄化していただくために経を唱えます。

故人さまがまず、自分が亡くなったことに気づき死を認めていただくことができるように、枕経の儀式があります。

亡くなったことに気づけずにいる魂は、何年経っても暗闇の中にいて、修行が始められません。

遺族の方々も故人さまが、死を受け入れ一歩前へ進むことができるよう、想いをかけて枕経の儀式を行って下さい。

亡くなられてから最初の儀式であり、故人さまにとって大変大切な儀式であります。