お葬式を迎えるまでの心得・手順


  葬儀とは今世、精一杯生きてきた故人との最後の別れの場です。

 

故人様にお世話になった感謝を形にする場であり、故人に成り代わり喪主・家族が生前お世話になった方々にお礼をする場でもあります。ここではお葬式を迎えるにあたり、どのような心で、またどのような手順で送るかをまとめています。

 

〇ご逝去の連絡

亡くなるとすぐに、身内、親戚、菩提寺に臨終の連絡をとります。また葬儀社に連絡をとり必要な手続きを依頼します。

 

〇ご遺体を住み慣れたご自宅に安置する

臨終の時から通夜・葬儀までの間、故人様はまず住み慣れたご自宅に帰ることで修行が始まるのです。それが叶わないときは、せめて安置場所に行く道すがら是非自宅を回ってもらいたいです。

 

〇枕経

ご遺体の安置・枕飾りが整ったのち、僧侶に来ていただき枕経を唱えて頂きます。経を唱えることで故人様は、まず亡くなったことに気づき、今世精一杯生き切った故人様の魂を浄化していただくために枕経を唱えます。大変大事な儀式であります。

 

〇湯灌・納棺

  湯灌とは、赤ちゃんが生まれた時に産湯を使うように、新たに生まれ変わって欲しいという願いが込められています。また私達のこの身体は、お借りしているものなので、お身体を綺麗にしてお返しするという意味がある大切な儀式です。病気や怪我等で傷ついたお身体も湯灌によって、元の姿に戻るのです。湯灌ができない時は、故人様のお身体を手当てしてさし上げるような、温かい心でお身体をみなさんで拭いてあげてください。

心を添えて行うことが大事です。 

〇通夜

  通夜とは、夜通し灯りを消さずに、ご遺体を見守る儀式です。

通夜の起源は故事によるもので「お釈迦さまの死を悲しんだ弟子たちが、7日間にわたり、ご遺体を見守りながら、お釈迦さまのこれまでの説法について語り合った」というものです。通夜の起源に倣い故人様を囲って、夜通し思いでを語り明かすことが通夜の本来の儀式です。

 菩提寺の寺院様に通夜の読経を頂き、また法話を聞いた後、親族や親しい友人などゆかりの深い人々が集まり、故人様の冥福を祈りながら、通夜振る舞いをします。故人様とゆっくり過ごせる最後の夜でもあります。故人様への思い出を語り合いながら、過ごして頂きたいものです。

 

〇葬儀

人生の旅路を終え、故人様は次の旅立ちへと進んでいきます。

亡くなったから終わりということではなく、これから新しく生まれ変わる(新生)という意味でご戒名を授ける儀式を行い、今世への未練を断ち切りあの世で修行ができるよう、引導(この世を断ち切りあの世へ行く経)を渡します。故人様がいち早く生まれ変わってこられるよう心込めて見送って頂きたいです。

 また葬儀は生前お世話になった方々に喪主はじめ家族が、故人に成り代わりお礼をする場でもあります。沢山の方々に参列して頂き、お顔を見て頂き皆で最後のお見送りをして頂けるような場をつくることが送る人の務めであると思います。

 

最近では葬儀の簡略化が進んでおり、葬儀にかかる費用が抑えられる、遺族の体力的・精神的な負担が軽減できるという理由から、通夜を省いた一日葬や納棺後すぐに火葬をする直葬が増えつつあります。「葬儀の常識」が大きく変わってきています。私は多くの葬儀に携わってきたからこそ今一度、葬儀の意味について考えていきたい。葬儀の儀式には深い意味があり、この世からあの世へ旅立つ故人様を導く為に儀式があります。

 だからこそ儀式の大切さを強く伝えていきたい。葬儀は誰のために行うのか、故人様に本当にふさわしい別れの場とはなにか、今一度考えて頂きたいと想います。

葬儀の形は故人に向ける心で決まるのです。